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耐震診断・耐震補強等、住まいの安全性を高める技術の向上を図っています。

理事のコラムDIRECTOR'S COLUMN

(2020年8月)

この秋から、住宅業界は?

 安倍晋三総理大臣が健康上の理由によって退陣して、菅義偉内閣が誕生しました。政界で大きな動きがありますが、新型コロナウイルスについては問題解決の糸口が未だに見えません。日本経済全体は相変わらず苦境の中にあり、住宅業界でも、3密を避けるためにも消費者に向けた集客イベント等の開催は難しい状況です。
 しかし、私は現在、千葉から東京までのエリアにおいて分譲住宅(建築条件付き)の請負を行っていますが、思ったほど落ち込んでおらず、お客様が動いているとも感じるのです。年間の供給棟数が10棟程度の不動産会社や住宅会社など取引の中心であり、こうした会社は事業を止めると存続できなるということもあるのでしょうが、平素と同じ動きをしています。そうは言っても、追加工事は少なく、請負金額は下がる一方であり、事業そのものは難しい状況になっています。大手ハウスメーカーは更に厳しく、関東の住宅総合展示場への新規来場者数は対前年比で減少が続いています。一方で、リフォーム事業はいかがでしょうか?昨年と同様、自然災害に伴う修繕工事が発生する可能性はありますが、これをビジネスの中心に据えるわけにいきませんよね。
 ただし、10月にはある程度需要が出てくると、楽観視しています。というのは、3月から動かなかった人達が、我慢できず動き出すのではないかと考えています。新築は、来年3月での引き渡しを考えると10月には購入を決断しなければなりませんし、入学や転勤、同居など、生活が大きく変わるときには住居を変えたくなるものです。
 菅総理大臣も「アベノミクス」の継承を宣言しており、経済政策は正念場です。新型コロナウイルスによって落ち込んだ景気を何とか浮上させねばならず、徹底的に資金を注入してくるでしょう。インバンドの恩恵を受けていた観光業、外食産業、輸出が落ち込む中、国内消費を刺激するきっかけとなり得るのは、私たちの住宅産業しかないはずです。これは、言うまでもなくすそ野が広く、影響が大きいからです。7月に発表された「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太方針2020)を強力に推し進めることで、住み替えや建て替え、新築購入、テレワーク改装費用など、何らかの支援策が出てくると期待しています。
 新型コロナウイルスへの対応は続くでしょうが、住宅会社でも非接触での接客、営業に慣れてきていると感じています。まずは、空き家ビジネスで不動産会社とネットワークを持つことを進めます。郊外の空き家は、アフターコロナ社会において注目される可能性が高いからです。都心から程よい遠さであり、インフラも出来上がっています。マンションや団地は改修に費用が掛かりますが、一戸建住宅や低層アパートであれば、わずかな投資で快適に過ごせる空間がつくれます。二拠点居住が本格化してくることも期待せざるを得ません。
 次に、「防災対応住宅」の普及を狙った支援策が出てくるでしょう。風害や水害対策を施した住宅への支援制度と、耐震改修補助制度とリンクしてくるように感じます。具体的には、屋根や外壁、窓のリフォーム、停電対策(太陽光発電設備や蓄電池)などです。現在、私が担当している注文住宅では、太陽光発電設備、ハイブリット車活用、井戸水への対応が必須になっています。また、災害ではありませんが、若いお客様は、インスタグラムでの情報収集が多く、デザイン、内装、設備などの情報から、夢空間が非常に膨らんでいます。現実から若干乖離してしまう傾向にもありますが、インスタ映えする空間の提案が求められています。どこまで具現化できるかは別にして、これに対応していかなければならない時代になったと思うことですね。女性が決定権持っている以上、「掃除や片付けがしやすい、かわいい、素敵」は必要不可欠です。
 最後に、異常気象によって「寒さ、暑さ」に敏感になっているお客様への対応です。断熱性能や換気、風の流れ、遮熱などについても、しっかりと提案できるかが試されてくるでしょう。
 上記の内容は、一社、一人では対応できないこともあります。建材メーカー様や建材店様、不動産会社様などを巻き込むことです。特に建材メーカー様は、多くの情報を持っており、新商品開発もどんどん行っていますから、相談することをお勧めします。どんなに小さなことでも、新しい情報を発信し続けることがお客様の信頼につながることは間違いありません。今年の10月からが、営業のチャンスだと感じています

鉄骨建築から木造建築へ

 公共建築物等木材利用促進法が施行されて、10年が過ぎようとしています。発注者、設計者、施工会社とも意識が大きく変わり、多くの建築物が木造で建てられるようになりましたが、民間への普及には課題があり、まだまだ不十分だと感じています。低層建築物を木造化することには多くのメリットがあり、もっと普及しても良いと思っています。特に、賃貸住宅建築では、営業的に強いハウスメーカー、アパート専門メーカーが重量鉄骨や軽量鉄骨を薦めているため、普及が進んでいないと感じています。
 残念ながら、木造在来工法の会社は、賃貸住宅の受注営業が弱いですね。圧倒的に強いD社が、2×4工法を薦めていることも影響しているのかもしれません。しかし、木造在来工法という商品に問題があるのではなく、営業戦略で差別化されてしまっていると考えています。賃貸住宅や貸店舗、倉庫などへの営業に必要となるのは、建築に関する知識よりも、不動産の知識が重要になります。お客様が不安に思うことは、「事業として成り立つのか、借り入れはできるのか、賃借人は付くのか、賃貸管理は誰が行うのか、相続対策はどうするのか」といったことです。これは、建築知識ではないですよね。逆に言えば、それらについての知識や対応策を練っていけば、木造賃貸住宅を受注することは可能ということになります。
 最近、鉄骨造やRC造を得意としている地場ゼネコンの設計部門に対して、木造建築の企画を提案したところ、木造賃貸住宅が採用されました。当初は、東京の私鉄の駅から徒歩10分、一種低層住居専用地域(50/100)の約150坪の土地に、重量鉄骨で3階建て、20戸のワンルームマンションを計画していたものです。北の前面道路は4mの一方通行、南側は遊歩道に面する敷地条件でした。重量鉄骨での建築費、賃料も含めた収支計画は分かりませんが、「木造2階建て、長屋メゾネット、ロフト付き、2棟10戸(1LDK)」を企画提案しました。投資金額は60%、賃料収入はほぼ変わらず、更に2棟ありますから、1棟だけを換金することも可能であり、リスクも少ないということから木造建築に変更されたのです。
 木造建築のメリットは、なんといっても建築費が安いことです。更に、減価償却が短い、長期融資も可能、リフォームも安価で可能、賃料単価もそれほど変わらない、長屋だから維持管理費が少ない、さらに、耐震も断熱性能も高いレベルを簡単に確保できるなど、挙げればきりがありません。しかし、共同住宅では致命的となり得る遮音性能だけはどうしても劣ります。それでも、プランや配置計画など工夫し、遮音部材を駆使すれば解決できるようになりました。
 もう一つの事例が、茨城県の取手駅から徒歩5分の防火地域内での土地活用です。Sハウス社の提案は重量鉄骨3階建て(耐火)、ワンルーム6戸、外構工事、改良工事、インフラ引き込み7,700万円(税込み)でした。これに対して、木造2階建て(準耐火)100㎡の3戸(1K×2戸とメゾネット1LDKロフト付き)で3,000万円(税込み)を提案しました。賃料収入は65%となれば、木造にしたくなりますよね。
 しかしながら、民間事業で多いロードサイド店舗、医療施設、事務所建築に対して木造提案がなされておらず、鉄骨造での建築比重が高くなっています。事業主に近い設計事務所、地場ゼネコンとのネットワークをつくっていきたいですね。木造のメリットはたくさんありますから、「食わず嫌い」な方に一度体験してもらうことができれば、理解していただけると考えています。待っていても仕事が回ってくるという時代は終わりました。これからは、積極的にネットワークづくりに励まなければなりません。まずは、自社の特長を明確にして、告知活動をしていくことです。そして、まずは普段から顔を合わせる主要銀行や車関係、保険会社などに対して告知してみることです。
 今仕事をしているNハウジングは、木造プレカット会社の子会社ですから、それを差別化のポイントにして告知活動をしています。昨年、主要取引銀行様から事業主(歯医者)を紹介していただき、新しい土地を紹介したところ気に入っていただき、今年には開業までこぎつけました。また、その事業主様から友人の歯科医を紹介され、友人の歯科医院も建築中です。その上、歯科医院設計が得意な設計事務所ともタイアップでき、数件の案件を相談されているような状況です。
 同じように、船橋で貸店舗、千葉でラーメン店舗などを受注できています。鉄骨建築が当たり前と思っている事業ほど、チャンスは出てくると考えています。会員の皆様も新築建築の受注を狙うのであれば、「小さな投資、小さな土地、小さな建築」が私たち工務店の差別化できるポイントです。ビジネスモデルは大手を真似し、商品で差別化する。上記のような営業活動を積極的に取り組む事をお勧めします。

経営幹部の役割

 2月から住宅会社の経営に携わるようになり、社員のやる気を引き出すことを常に意識しています。組織には専務取締役と部長職が5人いますが、残念ながらその立場や役割を理解していない人も少なからずいます。会社が成長していく上で、経営幹部の役割は、どんどん高まっていると感じています。経営幹部には、「業績責任」「業務改善責任」「社員育成責任」の三つの責任があると言われていますが、責任意識が若干偏っており、営業工事部門の経営幹部は「業績責任」、スタッフ部門の経営幹部は「社員育成責任」「業務改善責任」を強く持っているものの、それ以外については欠ける傾向にあります。
 どんなに部下に慕われていようとも、業績を達成できなければ、幹部失格であると考えています。部下に嫌われていようが、目標を確実に達成できるということが幹部にとって重要な能力です。部下を叱れない上司が増え、仲良しクラブ化した組織の幹部では目標を達成できないのです。実績を上げ続ける幹部には、必ず部下はついていきます。業績を上げられず、部下の給料が下がるようなことになれば、慕われていた幹部も信頼を失うものです。また、業績が下がってきたときほど幹部の力が試されますね。能力がない幹部は、達成できない理由を探し始める。「自分の戦略は間違っていないが、部下のやる気がない、動かない」と言い訳するのです。優秀な幹部は、「いかに達成できるか」を常に考え続けます。
 月に一度、幹部会を開催し、方針と目標を再確認させ、特に「受注棟数や営業利益」といった数値目標、進捗状況を確認しています。経営幹部を中心に、各部門ミーティングで戦術を考えさせ、実行させていますが、部門長のモチベーションに左右され、部下の意欲が大きく変わっているのです。「絶対達成させる」ということに拘る部門長は、言葉だけでなく、行動にも表れます。週に一度の部門ミーティングでは、一つひとつの案件ごとに状況を確認し、各担当者に対応策を出させます。それを完結できるまで、毎回毎回追求し、結果が出るまで実施させているのです。
 しかし、残念ながら他部門との連携ができていない。幹部が自部門だけの業績に拘るのです。営業部が「何でもかんでも受注」となれば、工事部は混乱し、工事部の目標である利益確保がおぼつかなくなる。現実、トラブルや問題は、連係ミス(コミュニケーション)が原因で起こっています。これを解決するのが私の仕事だろうと動いています。
 残念ながら、全くできていないのが「部下育成責任」です。中途採用の社員が100%で、即戦力と期待されて入社してきますが、一方で教育するという風土がなかなか根付かない。幹部も「できないのは、本人の能力不足、採用時の問題」と捉えがちなのです。部下の育成ができないから、受注が増えない、現場で問題が起きる、お客様にご迷惑を掛ける、とトラブルが連鎖します。その上、これらの原因を本人の能力不足で片付けてしまうのです。幹部自身が教育された経験がないからかもしれませんが、その術も持ち合わせていないのです。
 これも自らの仕事と位置づけ、幹部に言い続けています。朝礼、面談、同行営業、同行メンテナンス処理を行いながら、機会あるごとに部下を育成することの重要性と、その方法を伝えています。確かに、同じ企業風土の中で育ったわけではなく、部下の能力も多種多様ですから、難度の高い仕事になっています。尊敬される水準の知識、人間力を持っていないと耳を傾けてくれませんから、日々精進を積み重ねています。
 最後に、「業務改善責任」ですが、これも実行できていない。年度初めに、「職場三訓」として、部署ごとに目標と実行案をつくらせるものの、やり切れていない場合が多い。幹部の役割というより、企業風土、文化ができていないのは、トップの責任と言えます。
 私にとっては、「業績責任」が最も取り組みやすく、指導もしやすい項目です。しかし、いつまでも「業績」だけでは、あっという間に疲弊し、組織が崩壊していきます。精神的にもきつく、将来の業績にも影響してきてしまいます。数年先にも安定した業績を残すには、「部下育成責任」について真剣に取り組んでいかないとならないと思うのです。ますます厳しくなる経営環境の中、トップの覚悟と経営幹部の役割が重要になることは間違いありません。

心に残る言葉

「いくつからでも挑戦できる」
 女子競輪の高松美代子選手の言葉。2012年に競輪が復活し、競輪学校に49歳で入学。地道な練習を積み重ねプロ競輪選手になり、5年間の選手生活を経験する。諦めない姿勢は人々を感動させたという。見習いたいものです。

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