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理事のコラム

夏も長期休暇後が営業のチャンスです

 このコラムで何度も書いていますが、長期休暇後の約1カ月間は、家づくりを本格的に考える人が増えます。というのも、実家へ里帰りをして両親や親戚と会ったり、同窓会などで普段顔を合わせない友人と語らったり、仕事関係ではない人に会う機会が増えます。そこでの話題は、「子ども」「結婚」、そして「家づくり」が中心になることが多いのです。ただし、60歳に近付くにつれ、「定年後」「介護」「健康」の3つに変わっていきます。実家に帰省するのは、お正月か、お盆休みが一般的ですよね。北海道や東北をはじめ、海沿いや山沿いの地域は、夏の方が比較的快適に過ごせるため、やはり夏季の長期休暇を活用して帰省するケースが多くなります。学生時代の友人と集まるようなことも増え、友人の家庭や住まいの話に刺激を受け、「家づくり」への思いが強くなるタイミングでもあります。ですから、その人たちに対して営業を仕掛けていくべきなのです。
 何をすべきかといえば、まずは家づくりに関する情報を発信することからです。完成邸見学会が、最も効果的でしょう。近隣に挨拶回りを兼ねてチラシを渡したり、過去に取引があったOB施主様や、ご来場いただいたことのあるお客様に対して、ダイレクトメールを出すことも大事です。また、お施主様に友人や親戚を連れてきていただいたり、施工事業者にもご来場いただけたらいいですね。当日は、現場での賑わいをつくり出さなければなりません。どうしてもこの時期に完成する建物がなければ、住設メーカーや、建材店のイベントを活用するのもいいでしょう。建材メーカー様にご協力いただき、「○○リフォーム、特別キャンペーン」と題して、OB施主様を全軒訪問するなど、とにかくこれまでご来場いただいたことがあるお客様と接点を持つことが重要なのです。情報を出さない会社に、「相談してみよう」などと、普通は考えないものです。
 静岡のK社は、この時期に感謝祭を行います。子どもたちの夏休みの宿題を考慮して、自社大工を中心に簡単な工作教室を開催します。現場で余った木材や合板を集め、子どもたちと一緒に椅子や鉢置き台に仕上げます。これを目当てに、子どもたちが親を連れて集まってくるのです。宇都宮のN社は、地元の夏祭りの日にはOB施主様のために、通りに面した自社の一部を開放しています。駐車場に飲み物やおツマミも用意して、皆で楽しむようです。山車やお神輿を一緒に楽しむことは、大手の会社にはできない、地元の会社であればこそできることです。こうした形で、お客様との接点づくりをどんどん行っています。この時期に合わせて、総合住宅展示場やハウスメーカー、マンションデベロッパーなども仕掛けてきます。「住まいの参観日」「新商品発表、モデルハウス公開」などのイベントが行われます。
 マンション・一戸建住宅の分譲では、現物の「物件」があるので、ターゲットとなるお客様に興味を持っていただけるよう、いかに工夫するかが重要です。興味を持っていただけるかは、「場所(プレイス)」や「価格(プライス)」の魅力に大きく左右されますが、集客はそれほど難しくはありません。一方で、注文住宅やリフォームは、魅力をPRするための「物件」がそもそもないわけですから、「時(タイミング)」を大事にするべきでしょう。結婚や出産、介護などのお客様の固有の「時」と同じように、春夏秋冬やGW、長期休暇、オリンピックなどの日本社会の「時」も意識してください。その「時」に、他社と差別化した自社の技術力や対応力をお客様にPRできれば、きっと受注につながるはずです。
 このコラムを読んだ後でも、まだ十分に間に合いますので、消費者向けのイベントを組み立ててみてはいかがでしょうか。葉書を一枚出す、のぼりを一本立てる、チラシを一枚配る、ホームページに情報をアップするだけでも良いので、まずは何か行動することです。適切な時期に、繰り返し情報を発信すれば、お客様の頭の片隅にインプットされます。お客様の固有の「時」に、自社を思い出してもらえれば、成果につながるでしょう。自社の連絡先マグネットをつくって、冷蔵庫の扉に貼っていただけるようになれば、完璧ですね。


 

小が大に勝つには

 私たち工務店は、企業の規模としてみるとほとんどが中小企業の範囲に入るでしょう。家電業界や、スーパー、コンビ二などの小売店業界など、大企業が中小企業を席巻して久しいです。住宅業界は、プレハブメーカーやパワービルダーがあるものの、まだまだ50%以上は中小の住宅会社が建築しています。リフォームや修繕に至っては、7割以上を占めているのではないでしょうか。その意味では、まだ恵まれた業界なのです。しかし、新築住宅ビジネスのパイは確実に小さくなり、どんどん受注しにくくなっていることは確かです。そんな中、厳しいとされている業界の中でも、小規模だからこそ勝ち組になっているお店や企業があります。小が大に勝つ方法は、間違いなくあると信じています。そのような事例から学ぶことも必要です。
 群馬県にある「Mスーパー」は、食料品スーパーも入っている超大手のショッピングモールに隣接して店を構えながら、売上を伸ばしています。その要因は、ナショナルブランド商品を一切置かず、おいしくて、体に優しく、大手スーパーにはない商品だけに絞って取り扱っていることです。大手スーパーは、品揃えと安さを前面に出します。Mスーパーは、反対の商品。だからお客様がバッティングしないのです。一度、買っていただいたお客様から、「Mスーパーは、○○がおいしい」と口コミで広がっていくのです。そして、その人たちの声を大切にした商品だけを揃えるから、Mスーパーファンがどんどん増えていくのです。
 東京赤羽のH社は、先代の時代は工務店事業を行っていました。しかし、今は賃貸住宅の管理と仲介、リフォーム事業の売り上げが30%ずつです。現社長が、不動産のビジネスに参入したのが10年前。自ら、賃貸住宅の空室を歩いて探し、一部屋からの「リフォーム、入居者募集、賃貸管理」をパッケージにして、賃貸住宅のオーナーに提案して回ったのです。リフォーム工事も、多能工の自社大工がいますから、大手リフォーム会社より安くできます。賃貸募集も自前ですから、入居希望者の気持ちを汲み取ることができ、適切なリフォーム提案ができます。更に、賃貸管理を契約とセットにするため、長期に渡って管理料収入を得ることもできるのです。工務店でありながら、賃貸住宅に絞ったストックビジネスなのです。一部屋単位の小さなビジネスは、大手が参入できないため一人勝ちになっており、今では赤羽周辺に14店舗を構えるまでになっています。
 この二つの事例だけでなく、小が大に勝つ方法はありますね。まずは、大と同じ土俵に立たず、ターゲットのお客様を明確に変えることです。ボリュームゾーンを狙うのが王道なのでしょうが、小はニッチ、こだわりを持つお客様、いわゆる弱者の戦略を実施しているのです。二つ目は、お客様のできないことを提供する。Mスーパーは、日本中のおいしい食材を提供しているのですが、お客様は日本中を食べ歩くことはできません。また、一流レストランのコックを雇って、お店の中で魚の解体ショーをしています。H社は、賃貸オーナーが最も困っている「空室」に目を向け、入居者を確実に入れていくことで悩みを解決しています。そのために得意なリフォーム、更に管理を提供しているのです。三つ目は、我慢する勇気です。売り上げが上がらないときに、大手の真似をしたくなるのは分かります。しかし、両社とも「大手ができないこと」にこだわり、そのためのアイデアを常に考えて、それを信じて結果が出るまで行動しています。
 工務店事業で言えば、「性能アップリフォーム」「断熱改修」、新築住宅なら「輻射熱暖房」「ホウ酸処理した自然素材でつくる家」「手づくり家具の家」「ママキャリを応援する家」などです。数は少ないかもしれませんが、こだわりを持ったお客様は必ずいます。そのようなこだわったお客様は、商圏内で年間10組程度でしょう。大手が手を出しにくいですよね。大手企業が行わない、できないことを常々考え、お客様に伝わるまで実行していけば、大手の企業に負けるようなことはないはずです。会員の皆様には、中学校区程度の小さな商圏に絞って、大手企業の手の届かない住宅ビジネスを組み立て、エリアナンバーワンの住宅会社になっていただきたいと心より願っています。


 

マンションから新築一戸建住宅へ

 都会では、初めて住宅を購入する際の選択肢が5つあります。新築分譲マンション、中古マンション、新築分譲一戸建住宅、中古一戸建住宅、そして、土地を購入(譲渡・相続・古家付き)しての新築注文一戸建住宅の5つです。最近では、親世帯が分譲マンションに住み続けている場合もあり、持っている家を2世帯に建て替えることは少なくなっているため、この5ケースの比重が高まっています。
 まず、不動産価格を決めるリーダー的存在である新築マンションの価格が高くなっている、いや、高止まりをしています。建築費用が高くなっていることに加え、東京、横浜エリアの主たる駅から5分以内にまとまった土地が少ないため、どうしてもホテル業界と競合になってしまうのです。新築マンションが高くなると、築10年前後、駅10分以内などの条件は付きますが、中古マンションも高額で取引されるようになります。中古マンションが高くなると、仲介手数料、管理費、修繕積立金、駐車場代などを含めると、新築一戸建住宅との価格差がなくなってきます。場合によっては、新築一戸建住宅の方が月々の住居費が安くなるケースも出てきます。また、中古一戸建住宅の流通は古家が多く、建て替えることを前提とした購入か、寮、民泊などの他用途への転用になりますが、古家が付いていることがかえってマイナス要因となり、厳しい金額にならざるを得ないこともあります。結局、中古マンション(リノベーション含む)と新築一戸建住宅との比較検討が中心となってくるのです。
 中古マンションを選ぶ際は、利便性、眺望、便利さ、セキュリティーなどが重視されます。新築一戸建住宅は、広さ、快適性、遮音、ペットなどに拘ります。マンション検討派は、何が何でもマンションと決めてかかっていましたが、最近では一戸建住宅の有利さに気が付き始めてきているようです。その第一の理由が、修繕積み立て費用のアップという事実です。ちょうど築10年過ぎから変わるケースが増え、管理組合の財務内容まで気にかけるような人は新築一戸建住宅に心変りしているのです。第2の理由が、快適性です。室内の温かさや光熱費が、昔の木造建築のイメージとずいぶん変わってきているのです。第3の理由が、外観やエクステリアで高級感を出せるようになってきたことです。一戸建住宅が、「いつかは住みたい」から、「有利だから、快適だから、素適だから住みたい」となってきているようです。
 大都市で、新築一戸建住宅の供給体制が変化しつつあります。高度成長時代のような大規模開発での新築分譲ではなく、街中で空き家になった土地活用での分譲住宅、新築建て替えです。高齢になってからマンションに住み替えるために、持ち家の転売などから土地が出て、それが分譲住宅として販売されています。消費者が勉強すればするほど、今後は街中の分譲一戸建住宅に集中してくるのではないかと思うのです。その分、郊外や地方都市はどんどん苦しくなると懸念していますが。大都市がそのようになると、地方の中核都市も追随してきます。マンション供給エリアにはビジネスホテルが乱立し、街中の空き家が分譲住宅になって供給されていく。消費者は、中古マンションと比較して、新築戸建てを選択、購入していくようになると思うのです。
 社会人になって35年以上、一戸建住宅一本で仕事に取り組んできました。だからこそ、都会のお客様が、住まいを初めて購入するときから、新築や中古マンションではなく、新築一戸建住宅を選択する機会が増えることに喜んでいます。どうしても、子育て世代には一戸建住宅に住んでもらいたいと思ってしまうのです。都会の住宅事情が変われば、少し遅れて中核都市に波及していくでしょう。手に入り易い一戸建住宅がどんどん増え、若い人が住めば、将来、私たち工務店の仕事も必ず増えてくるはずです。

 

 

心に残る言葉

「買わない理由」を見よ
 私たちは、「売れない理由」をついつい探してしまいます。しかし、お客様の立場に立って、「買わない理由」を突き詰めていかなければならないのです。「買わない理由」が分かれば、適切な手を打つことができる。マーケティングの基本ですが、お客様が、「ほしいものを、ほしいときに、ほしい価格」で提供してくれれば買っていただくことができるということでしょう。

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