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理事のコラム

毎年起こる風水害から

 今年も台風や豪雨、水害などにより日本各地で大きな被害が発生しています。被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げます。台風15号では主に千葉県で停電や断水が起こり、台風19号ではいくつもの河川が氾濫し、浸水被害が広域で発生してしまいました。二つの台風による教訓は、復旧までに長い期間がかかってしまったことです。1〜2日程度であれば何とかしのげ、生活に影響することは少ないと思いますが、そうした状態が数日間も続くと、二次被害などが急増していきます。住宅被害者はもちろんのこと、産業被害者が増えてしまうのです。特に、冷蔵やポンプを使う事業は大きな被害を受けることになります。断水するのは、停電でポンプや浄水機が動かないことが原因となることがほとんどだからです。
 私の家も台風15号で被災しました。物置が倒れ、アンテナが傾き、棟板金が飛ばされました。1日半ほど停電と断水が続きましたが、エコキュートの貯湯が活躍し、なんとか生活できました。現在は、アンテナの傾きによって衛星放送が見られないといった程度にまで回復しています。当協会の会員に連絡を入れると、数日間で300件以上の修繕・補修依頼が入っており、修理がいつになるかは答えられないという状況です。OBのお客様に対しても、「今年中には何とかします。ご不便をおかけしますが、ご理解いただきたい」とお伝えしているようです。ブルーシートによる応急処置は、社員の総力を上げて行っていますが、言い換えれば応急処置しかできないのです。数カ月後には「しっかりとした補修、リフォームをしたい」というのがお客様の心理です。金額が多少かかっても、これからも繰り返し来るであろう、大きな台風でも耐えられるようにしたくなるものです。私の家も、この際だから修繕ではなくしっかりとしたリフォームまで行おうかと考えており、動きはじめました。
 当協会の事務局から、「台風事前チェックリスト」をメールで配布していることと思います。
 □バルコニー側溝の排水口のゴミを取り除く □ベランダ、玄関周り、庭の飛散しそうなものをしまう
 □24時間換気システムの一時停止 □雨戸、シャッターを確実に閉める 
 □窓にはガラス飛散防止フィルム(養生テープ)を貼る □浴槽に水を張る □食料・飲料水の補充
 □非常用品の確認
 ・懐中電灯・携帯用ラジオ(乾電池)・救急薬品・衣類・非常用食品・携帯ボンベ式コンロ・貴重品など
 ぜひとも、OBをはじめお客様に情報を提供してほしいのです。天候回復後に状況を確認することで、信頼関係も構築できるはずです。残念ながら被害が出てしまっても、応急処置、修繕、本格的な大型リフォーム工事につなげていくことができるのです。「お客様の住まいを大事にしていますよ」と行動で示すことができれば、お客様は順番待ちをしてでも発注いただけます。
 風水害対策に有効なリフォーム商材も、推進会員である各メーカー様から出ていますね。窓メーカー様は後付けシャッターや防犯用フィルム、台風対策が必須な沖縄の仕様もあります。換気メーカー様は、雨水の進入対策として、フードの工夫をしています。屋根、外壁メーカー様も、台風対策商品を次々と出しています。そのほか、ビルトインガレージ用の防水シャッター、停電対策用の蓄電池など、同時に提案したい商材が目白押しです。
 地球温暖化を一因として海水温が上昇し、「台風の巨大化」を引き起こしていることは間違いなさそうです。建物をシェルターとすることはできますが、同時に温暖化を食い止めることにも貢献する建物にしたいものです。私たちは、エネルギーをできるだけ使わない、エネルギーを創出する家づくりは可能なのですから。建築物の木造化をはじめ、高性能断熱材、太陽光発電設備、蓄電池といった建材、商材が注目されており、それらの知識を身に着けていかなければならないでしょう。今後も大幅に伸びる工事内容であり、専門施工技術者も育てていきたいところです。


 

新築受注方法が変わってきています

 新築住宅の受注は、高度成長時代からバブルまで工務店様の売上の中心であったと思います。販売店様との会話も「今年は、何棟受注できそうですか?」になっていたと思います。建て替え受注よりも、デベロッパーからの受注、ハウスメーカーの下請け、自社で分譲住宅建設などが多くありました。しかし、新設住宅着工戸数が減少したこともあり、デベロッパーからの発注が減り、自社施工(分離発注)のパワービルダー供給が急増してきました。ここ20年で工務店様に新築の仕事が回ってこなくなりました。そして、フランチャイズチェーンなどに加盟して商品を差別化して新築住宅の受注に注力するか、地域に根ざしたリフォーム専門にシフトするか、といった選択を迫られるようになりました。しかし、その時代も終わりつつあり、商品での差別化ができなくなりつつあります。
 住宅総合展示場や、街かどでの単独モデルハウスなどが、集客装置としての機能を果たせなくなってきています。モデルハウスに、「初めて、突然に来場する」お客様が少なくなり、展示場の企画で集客したお客様の契約率がどんどん下がっています。モデルハウスは、インターネットからの問い合わせ、紹介客、現地見学会などで集客したお客様のクロージングの場となりつつあります。その上、総合展示場のモデルハウスの維持管理には多額の費用がかかり、その固定費を販売金額に上乗せすることになります。
 商品力を前面に出したモデルハウスでの集客という「一戸建注文住宅事業」のビジネスモデルが崩れつつあると考えています。その証拠に、大手ハウスメーカーも一戸建住宅事業(分譲除く)における売上の確保は難しく、S社で約20%、D社で10%程度にまで、全体の売上高に占める割合が下がってきています。あれほど元気であった大手賃貸住宅専門メーカーも、維持管理や賃貸管理、リフォーム工事にシフトしていっているのです。
 こうした中でも新築にこだわりたいと考えている工務店様もいますよね。私も新築工事を受注したいと考えています。難しくはなっていますが、以下の二つの方法にチャレンジしていけば、道は拓けると考えています。一つ目は、「土地活用、建物活用」から、一戸建住宅以外の利用の提案です。相続対策や有効活用(投資効果)につながる内容で、空き家や生産緑地法の解除など、需要はこれからもたくさんあります。もちろん、ハウスメーカーやゼネコンなどと競合しますが、地域に根ざした不動産会社と手を組み、小さな土地であれば十分に戦えます。賃貸併用住宅、小さなアパート、小さな貸店舗、小規模保育施設、コンビ二、コインランドリー、貸し倉庫、屋根付きコインパーキングなどの受注は可能です。
 二つ目が、徹底した「建築資材の商品知識」と「品質」、「現場の管理力」の向上です。顧客情報を持っている、設計事務所や不動産会社からの紹介をいただくには、この三つの能力は欠かすことができない。それもエリアナンバーワンにならなければならないのです。そうなれば、「あの会社を紹介すれば、間違いない。期待以上の提案、施工をしてくれる」と思っていただけます。今、勝ち組となっているのは、上記の三つのことに日々努力をしている施工会社です。
 どちらも今までの会社の考え方では成り立たないですよね。「土地活用・建物活用」は、鍵が不動産情報と言えますから、不動産ビジネスの血を入れることであり、会社を変えるということです。お客様も「エンドユーザー」から「プロユーザー」に変わり、繰り返し受注できる可能性があるということです。お客様がプロですから、私たちの建築知識も範囲を変えていかなければならない。また、扱う商品を変え、告知活動の方法も変えていかなければなりません。ハードルは低くないが、チャンスはあります。二つ目の「品質、建築知識、施工管理」でエリアナンバーワンになるためには、一朝一夕というわけにはいきません。実績が必要であり、十年以上も日々努力し、社員、現場監督だけでなく、職人にも徹底教育をしていくことになります。全国には、最終消費者や設計事務所、不動産会社から高い評価を獲得している建設会社がありますから、そのような建設会社から管理方法などを学ぶことをお勧めます。例えば、環境、品質のISO認証などの外部認証制度を利用するのも良いと思います。こちらもハードルが高いですが、確実に生き残る方法と考えています。新築にこだわる以上、会社を大きく変えるといった覚悟が必要であり、それだけ日本の住宅業界が変わってきているということです。


 

「引きこもり」と住まい

 内閣府が今年3月に公表した調査によれば、40〜64歳の中高年層で「引きこもり」状態にある人は推計で61.3万人だそうです。これに、2016年に調査した15〜39歳の推計54.1万人を加えると、現在、日本には「引きこもり」状態にある人が115万人以上いるとも言われています。中高年層の「引きこもり」の約7割が男性とされ、日本社会における人材不足に影響を与えているとも言われています。こうした人達が全員社会復帰できるならば、外国人労働者受け入れの問題も解決する規模なのです。
 私も40年近く注文住宅を請け負う中で、ここ数年は「引きこもり」がいる家族に関わる機会も増えてきました。高齢の両親と40〜50代の子どもが多いのですが、両親が亡くなった兄弟家族、母と娘の家族など、多様化してきています。一度、引きこもりとなってしまうと、数十年にわたり抜け出せなくなり、両親の高齢化に伴って日常生活を支えきれなくなり、悲惨な家庭状況となることも珍しくないようです。
 「引きこもり」がなぜ後を絶たないのかは、様々な要因があり、福祉関係者、医者、心理学者も解決の糸口をなかなか見い出せないようです。「引きこもり」を一般社会に戻すことは、専門家たちに任せるしかないにしても、「引きこもり」にならないような子育て方法、それを支える住まいづくりがあるのではないかと考えています。昔の住環境は、引きこもりたくても引きこもれないものでした。家族が多く、子どもに一人部屋なんて与えられなかった。農業、漁業、自営業が主であり、家が仕事場となり、働かない者に家の中の居場所がなんてありませんでした。ほとんどの人が、子どもの頃から家族の一員として必死に働いていたのではないでしょうか。それが、1960年代になると核家族が増え、分譲住宅や団地、マンション住まいとなり、個室重視に変わっていった。最近では共働きが増え、働く親の姿を見る機会が急激に減っていきました。もしかしたら、1960年以降に生まれた人に「引きこもり」が急増していることと関係があるかもしれません。
 「引きこもり」になったきっかけは、「人とコミュニケーションが上手に取れない」「阻害されていると感じる」などがあるようです。一言で言うと、「情緒機能を司る前頭葉が、未発達で育っていない」ということです。前頭葉は、3歳から5歳に集中的に大きくなっていき、それ以降は成長することは少ないそうです。ですから、その時期の育て方が非常に重要であり、幼少期の住まいの間取りが影響しているかもしれないと思っています。今のままなら、情緒機能が不十分な人が日本ではどんどん増えていくかもしれません。先日、私が請け負ったアパートの近くの住まいでは、「引きこもり」との親子喧嘩に警察が出動し、「怖くて住めない」と言って入居者が引越していきました。アパートオーナーもこの退去理由にびっくりしていました。
 2歳から5歳まで、できれば小さな、仕切りのない(引き違い程度)住まいが良いでかもしれません。家族みんなの生活が感じられる住まいや、いろいろな人が出入りする二世帯住宅も良いですね。花や鳥、風、星など、四季折々の自然が感じられる住まいなども良いでしょう。お手伝いができるキッチンスペース、目の高さが変わる吹き抜けのある2階建て、外部に出やすいウッドデッキなども前頭葉を育てるのに効果的と言われています。前頭葉を成長させやすい住宅は、マンションよりも一戸建て住宅の方ですね。こうした問題の解決に住まいづくりから貢献していくことも、日本の将来につながる取り組みだと考えています。

 

 

心に残る言葉

「にわかファンでも、ありがたい」
 日本中に感動の渦を巻き起こしたラクビー日本代表の戦いは、ベスト8で終わりました。ラクビーというスポーツを知らなかった多くの日本人が、この一月で「にわかファン」になりました。しかし、関係者はそれでも十分だと言います。まずは興味を持ってもらうこと、そして、スタジアムに足を運んでもらうこと。謙虚、紳士がよく似合うスポーツだと感じた一月だった。

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