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理事のコラム

新春の経済講演会から感じること

 各地で行なわれた講演会に参加され人たちは、感じたのではないでしょうか?「2018年は日本経済が復活し、景気が良くなる。20年続いたデフレからインフレへ転換し、給料も上がる。結果、個人消費も増えるだろう」と、8割以上の住宅関連の経営者が話をしていました。今年は例年以上に期待できそうです。しかし、何もせずに売上や利益が勝手に上がるかというと、そんなことはありえない。変化、チャレンジをしなければならないと釘を刺されています。特に、N社の新春経済講演会で講演されたボストンコンサルティンググループのシニア・アドバイザーの御立尚資氏による「『並存』の時代とリーダーシップ」と題した講演は、たくさんのヒントをくれました。産業革命から始まった工業化の時代から、デジタルの時代に移行しつつある中で、変化が突然起きるのではなく、並存する時代が必ず存在する。まさに、今の日本がその時代を向かえ、経営の舵取りに非常に重要な時期だというのです。ナイスビジネスレポートの2月15日号で特集しますのでぜひ読んでいただきたい内容です。
 また、例年のパネルディスカッションでは、住宅関連業界を代表する建材メーカー・商社の社長が、今年の方向性を語ってくれました。2月の住まいの耐震博覧会では、新商品がたくさん出るようです。その中で、ニチハ蒲lの外壁塗装30年保証は、目地なしサイディングとともに魅力を感じました。そのほか、省施工商品や人口知能(AI)関連商品が出てくるようです。楽しみですね。
 私は経済の専門家でもないですし、経営者でもないので、一つの意見・提案として参考程度に聞いて下さい。住宅が売れる、景気が良くなるときには兆候があります。それは、富裕層がまず動き出すということ。株価が高くなると心に余裕が出てくるのでしょう。私の仕事の中心は、首都圏の土地活用による賃貸住宅の受注です。いわゆる地主の方ですが、サラリーマンを定年した人から、びっくりするほどの富裕層もいます。パソコン1台で何千万円ものキャッシュを動かす人が出てきています。余裕のある人たちほど動きを感じるのです。もちろん不動産だけではないのですが、投資意欲が高いことは確かです。首都圏では、新年を迎えてから住まいを求めるお客様も増えています。それも高級住宅地ほど動きがいいのです。分譲住宅では4000万台のエリアではなく、8,000〜9,000万円のエリアなのです。東京の大崎駅前では、中古マンションでありながら1億円台が売れています。年収3,000万円程度の若手経営者が購入するのです。今は金融事情も低金利で推移しているので、いろいろな意味で、強気でいいのではないかと考えています。いよいよ、団塊世代のリフォームが本格化しそうですね。金銭的な余裕が出てくると、ご主人がOKを出すようになります。奥様は、いつでも綺麗で、快適な住まいに住みたいものですから。
 消費者向けのイベントを組みましょう。住まいの耐震博覧会を活用し、バスツアーを組む。住宅メーカーのショールームを使って、便利なキッチン、洗面台、トイレを見せましょう。必ず、成果につながるはずです。直ぐにできることは、事務所の前に幟を立てる、ホームページを充実させる。ニュースレターを発行するのもいいでしょう。一つ一つ行動に移せば、成果につながる年になることは確かなのです。そして、事業を大きく伸ばしたい会員様は、地元の不動産ネットワークを作ってください。中古住宅流通には、性能アップリフォームが欠かせない時代になります。建築会社と不動産会社がタッグを組む時代なのです。また、性能アップリフォームが得意なのだということを商圏内に浸透させることが重要です。それも、最終消費者ではなく、同業者やプロユーザーから浸透させることを進めます。「確かにあの会社は、特長があり、差別化されているな」と思わせれば、口に出てくるものです。それが商圏内の最終消費者に伝わることになります。遠回りに見えますが、それがもっとも信頼を得ることになるのです。




 

この時代だから、伝える力が必要

 最近気になっている経営者の一人が、潟Wャパネットたかたの前社長の高田明氏です。同社の事業を次世代の経営者に引き継ぎ、経営の一線から退く一方で、自身の事務所を立ち上げるなど精力的に活動し、JリーグのX・ファーレン長崎の社長に就任すると、同チームをたった数カ月でクラブ史上初のJ1に昇格させました。数億円の赤字を抱えたサッカーチームをあっという間に再建して、甦らせたのです。
 その考え方は「ビジネスも、スポーツも教育も医療も政治も、何のために活動しているかといえば、人間の幸せに尽きる。その視点に立てば、扱う商品もサービスが違っても、その先にある幸せをどうつくっていくのかということは共通する。ミッションさえぶれなければ、その業界のことを勉強すればいいのです」というのです。実際に、監督もコーチも選手も殆ど変えずにJ1昇格を成し遂げたのは、高田氏の意思(長崎の火を消すな)や情熱が、長崎県民、スタッフに伝播した結果、周り人の協力や運が味方をしてくれたからだというのです。そう、基本はミッション経営です。志です。「商売って、売上とか利益ばっかり求めていても面白くない。スポーツも勝った、負けただけでは長く続かない。その先に何をもたらすかが感じられると、人間は驚くようなエネルギーが出てくる」「今を生きる、目の前の課題を集中して乗り越えることが、大きな成果をもたらす」「プロセス重視。プロセスで力を抜いている人や組織は絶対に目標を達成できない。今、目の前にある一つ一つのプロセスに集中する。それを重ねていくことで、最終的な人生の目標に到達できる」というのです。
 その高田氏は、「伝える力」がまず重要だといいます。それが「潟Wャパネットタカタが伸びた理由」であり、ノウハウができている。第一のポイントは、商品メリットだけでなく、「開発物語」「企業の歴史」といった「物語」で共感を得ること、人の心に響かせること。そのためには、テクニックではなく「人間性」であり、自然体で自分を表現できること。仕事を通じて人間性を磨かないと絶対に一流にはなれないし、伝わらない。例えば、地方を元気にしたい地方創生も、「歴史を紐解いて、心に響く伝え方」で観光客も増えるし、名産品などの売れ行きが変わる。「この町はね…」「このお土産はね…」とお客様が物語を語りたくなるようにすればいいというのです。
 次が「情熱、パッション」であり、それが無くては心に響かない。「非言語の目が喋り、表情が喋り、手が喋り、指が喋り、全身が喋る。情熱を持って語りかける。ところが今、AIとかSNSといったことで効率が求められるが、頼りすぎると本来のパワーとか情熱が失われる。便利さの裏には、考える力、感情が乏しくなることを理解しなければならない」ということです。
 日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)の全国大会で、東進ハイスクール講師の林修氏の講演を聴きました。この講演の題名が「伝える言葉、伝わる言葉」。90分間の講演では、いろいろな話をしていただき、飽きることも無い。さすがプロである。その内容が「伝わる」だから、伝わらなかったら、役に立たない講演ということになってしまう。林氏によれば、伝わらないポイントは以下の3つ、「知識の欠如」「立場の違い」「志の欠如」だそうです。
 知識の欠如とは、相手の知識レベルに合せるということ。お客様は、私たちのような建築のプロではないのです。難しい知識、言葉では伝わらないのです。一方で、「大工に話すときには、大工の言葉で話す」といった名言をいただいた。「立場の違い」は、組織や家庭で最も苦しむこと。置かれた立場によっては、目の前に全く違う風景が広がっている。社長と新入社員では、見える世界が全く違うということを理解する。最後の「志の欠如」は、思いや情熱が足りないといったことだそうです。だから伝わらない。また、相手が「拒んでいる状況」がベースにある場合がある。「この人の話は聞き入れたくない」となっていれば、伝わらないのは当たり前。尊敬される状況になっていないと伝わらないということで、普段の生活や行動、態度で良好なコミュニケーションを築くということが、思いが伝わるということでもある。
 二人の話を聞くと、「いかに伝えるか、伝わるか」が人生の全てのベースであり、これができるとビジネスも人生も成功につながっていく。どうも難しいテクニックではないようです。人間として「魅力度」を身に着け、志と情熱を持って語りかける。相手の立場、生き方を認め、共感を呼び込める物語に仕上げていく。ベースとして必要不可欠となる「尊敬される」には、圧倒的な知識を持つ、勉強をする。日々の小さな行動を変えていく。家庭の中で居場所を失っている父親、話を聞いてもらえない父親が増えているのも、尊敬されるだけの勉強や行動を怠っているのではないでしょうか。私も今さらながら反省する毎日です。最近、よく耳にするのが「AI」「IoT「SNS」といった言葉です。残念ながら、30数年も住宅づくりに関わっていると、人の顔を見て話をしないと安心できないアナログ系の人間になってしまいました。パソコンが普及し、スマホが主流になっても、時代についていくのを拒むがごとき勉強してこなかった。勝手に、「若い人に任せればよい。分からなければ、聴けばいい」と。しかし、そのようなことを言ってもいられない状況にまで時代は変わってきており、今さらながら反省するばかりです。次世代の家づくりに、上記の世界が入り込んでくることは、私が言うまでもないでしょう。夢のような住生活が待っていると思うのです。


 

葬祭ビジネスから学ぶ

 この一月に母が亡くなった。私は、4人兄弟の年の離れた末っ子だったこともあり、97歳という長寿を全うしてくれた。8年間ほど介護施設にお世話になり、ここ数ヶ月は点滴だけの治療で、老衰という最も苦しまない死因であった。この2カ月で情報は行き渡り、4人の子どもと7人の孫、11人のひ孫も覚悟ができており、突然の不幸にも全員が顔を揃えることができたのは、家族にとってありがたい話です。
 亡くなって3時間後には、4人の子どもたちは顔を揃えることができた。既に戒名と葬儀社が決まっていましたが、親戚代表を交え葬儀社と打ち合わせをする準備に入っていった。良くできた仕組みに喪主が悩むことはほとんどない。いくつかランクがある葬儀セットを選ぶことからはじめ、その後も選んで、選んで、進めていけば良いのです。火葬場とセレモニー会場の予約が完了すれば、ほとんどのことを葬儀社が行ってくれるのである。棺桶の種類から、香典返し、献花、食事、遺影など、何でも写真集から選ぶのですが、「ちょっとさびしいですね」「十分じゃないでしょうか」「実例からすると・・・」といったアドバイスでどんどん決まる。その項目は100項目程度になり、1時間もすると「はい、こちらが総額になります。○△さんは、△会員様ですから、20%の割引になります。よろしければ、こちらにサインを」「追加が出るようなら、最後に清算させていただきます」と契約は終了です。その日の夕方には、祭壇や棺桶が納品され、たった一人の担当者が手際よく納棺まで行ってくれるのです。その間、価格を値切るなどできる雰囲気ではない。どんどん進めていくことに、感心するばかりである。とにかく、面倒なことを全て取り仕切ってくれるのである。どこの葬儀社も会員制度をもっており、会員募集は随時行っている。ある一定の年齢になると、どこの家族でも会員になりたくなる。いつ使うかは分からないが、いつか世話になると漠然と考えるようになる。この心理を巧みに捉えている。
 たった数日間で終了するビジネスですが、こなさなければならない項目はたくさんあり、複雑に絡んでいる。また、お客様によって変わる内容がいくつもある。宗派、家族構成も違うし、来場客の数値も読めないことが多い。さらに、緊急性があり、天候に大きく左右される。そんな中、数百万円かかるサービスをほとんど一人で対応しているのである。見えないスタッフはたくさんいるのだろうが、そこに儲かる仕組みが隠れている。最後には、感謝の言葉で締めくくられる「○○様、ありがとうございました。お蔭様で、無事に見送ることができました」と。
 このビジネスは、人と人との感情が中心になっている。「派手でなくても、最低限のことは行いたい。故人のためにも、恥ずかしくないようにしたい」。多少、価格に「?」を持ったとしても、兄弟や親戚の手前上、「いいんじゃない?」となるのだろうと思います。「1回だけだから」「煩わしいことから早く開放されたい」との心理もある。全てが葬儀社に仕組まれているとわかっていながら、「セット」に乗ってしまうのである。
 住宅業界もこれに近い方法を採用している会社は多い。まずは、家づくりの前に会員制度をつくって、入会していただくのである。女性対象の倶楽部、○△メンバーズ倶楽部など、平素からイベントにお誘いして、契約時の特典をつけている。ファンにしてから契約することで、トラブル、クレームが大幅に減少することも狙いの一つ。最近では、レオパレス、プリマ倶楽部など賃貸住宅などでも行っている。



 
   

心に残る言葉

 「今、選抜高校野球大会に母校、彦根東高校が選ばれました」
 D工業の社長のパネルディスカッションでのコメント。更に、「隣の○○社長の母校、東筑高校も選ばれました」
 いくつになっても、母校、出身地のことは気になります。名誉なこと、誇らしいことと思えるのです。それが、自分の人生の一部であることがうれしい。生まれ故郷の地方創生、地域活性化、そのために何ができるか。そのようなことを考える年齢になってきました。

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